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STORY 04 地中海のごはんとおやつ Sakhana

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地中海の味と想いが詰まった「Sakhana」— フランス・ニース発、つくばで出会う美食

つくば市上郷住宅地にある「地中海のごはんとおやつ Sakhana(サカナ)」。パンの香り、手作りキッシュの温かさ、そして遠く地中海から届いた素材たち。週末の営業時間だけで、遠方から車を走らせる常連客も訪れるほど。フランス・ニース出身で、チュニジアのルーツを持つ店主のサハナ・モハメッドさんにお話しを伺いました。

ワーキングホリデーで出会った、御菓子づくり

サハナさんは、チュニジア出身の両親のもとで生まれ、フランス・ニースで育ちました。フランスでガラスやサッシの専門学科を卒業し、卒業後は学んだ技術を生かせる建築関係の仕事をしていました。

お菓子づくりとの出会いは、ワーキングホリデーがきっかけ。高校を卒業してすぐにオーストラリアで1年、ニュージーランドで2年。
「現地のお菓子が『甘すぎて、自分の口には合わない』と思ったんです」
その率直な感覚。そして、フラットメイトのフランス人の女の子が、翌日食べるパンを夜に手作りする——そのベイキングの姿。その両者が重なった時、サハナさんの中で何かが動き始めました。

色々なお菓子を作り始めたサハナさん。フランスのチョコレートケーキを練習すると、友人からの「おいしい」という言葉が嬉しくて、何度も何度も作ったといいます。

実は同じような経験を10代の時にも経験しています。
「毎朝、自分のために作っていたサンドウィッチを友達が食べておいしいと言ってくれた」といいます。バゲットにはフランスでは定番のマヨネーズとチーズを基調に、季節の食材を詰めるなど、色々な種類を試行錯誤しました。
こうした経験がサハナさんの人生を大きく変えることになったのです。

ワーキングホリデーの後、フランスで約1年間のパティスリー・ベーカリー修行を経て、日本へ。笠間市の有名なお菓子屋「洋風笠間菓子 グリュイエール」で経験を積んだ後、2021年1月に「Sakhana」をオープンしました。

 

自分の食べたいものを、自分で作る

 

サハナさんは、かなりの偏食だといいます。
「自分が食べたいものを食べたいから、自分のために料理を始めました」
基本的に甘いもの(特にチョコレート)は大好きですが、野菜はほぼ食べない。シーフードも。グニャグニャとした食感は苦手。アボカドも噛みたくないそう。
「メニューにエビやアボカドが入ることもありますが、味見は妻がするんです」と笑顔で説明します。

子どもの頃から、夜中の2〜3時に起きてお母さんに「チョコをちょうだい」とせがむほどのチョコ好き。幼少期は両親がともにチュニジア出身であったことからチュニジア料理に囲まれて育ちましたが、大人になってフランスの料理やお菓子の文化に出会い、世界が一気に広がったといいます。

 

毎週変わるメニュー、変わらぬこだわり

「Sakhana」を訪れると、毎週20種類程度のデリやデザートが並びます。棚上には、パンは3種類+バゲットや焼き菓子、ショーケースには季節ごとのタルトやキッシュ、サンドウィッチなど13種類程が並びます。固定メニューはなく、毎週数種類のメニューが変わります。同じメニューでも材料が異なるものや時にはお客さんからのリクエストで作るメニューもあります。

その中でも看板商品は、サンドウィッチとキッシュ、パスタです。

サンドウィッチは、毎月一番売れる人気メニューで、サハナさんが10代の頃から作り続けているサンドウィッチです。フランスの生地を使用したバケットで現地の味に近いと太鼓判を押します。サンドする具材も日本ではあまりみない種類で、基本的にサハナさんが好きなものを詰めています。

キッシュは、フランスの定番レシピで季節の野菜を組み合わせています。チーズはコンテ(ヤギのチーズ)、モッツアレラ、パルメザン、ブルーチーズなど、すべてヨーロッパ産を使用しています。

パスタは毎週ヨーロッパ・チュニジアを中心とした組み合わせを用意し、ソースなどに合わせてパスタも何種類か変えており、ボロネーゼもベシャメルソースも既製品ではなく、全て手作りしています。

そして、デザートもサハナさん自身が美味しいと思うものをレシピにしています。

チョコレートタルトは、チョコレートと生クリームだけ。砂糖は入れません。チョコレートが大好きなサハナさんが作る甘すぎないなめらかなチョコレートが味わえるこだわりのタルトです。

レモンタルトは、フランスの伝統的な製法の最後に焼く工程が入るサハナさんのオリジナルのレシピです。
焼くとドライになって食べやすく、味が濃縮されます。レモンの酸味にもこだわった逸品です。

デーツ(ナツメヤシの実)は、チュニジア産のデグレットノワール種。チュニジアでは定番のおやつ。ゴマペースト(ハルワ)とアーモンドをサンドしています。

レモンは、サハナさんの妻の紹介で広島のレモン農家さんから直接仕入れる国産レモン。卵は、近所の「ごきげんファーム上郷」の平飼いたまご。デーツはチュニジア産のデグレットノワール種。
「地元や季節の食材を取り入れること。お客様に地中海の味を体験していただくこと」が、「Sakhana」のコンセプトです。チュニジアの両親から受け継いだ味や世界を旅して体験した味を、日本で再現する。その営みの中に、サハナさんのアイデンティティが詰まっているのです。

季節の食材を使用したデザートやハロウィン等のイベント菓子も。

 

プラスチックを使わない、という選択

もう一つのこだわりが、「プラスチックをなるべく使わない」ということです。
包装は全て紙製。アイルランド発のバタフライカップなど、パンの呼吸を妨げない素材を選んでいます。
「お互い何となく、紙にしようってなりました。プラスチックを使わないようにしよう、と。フランスでもパンは呼吸しないといけないので紙で包みます」
環境への配慮と、商品の品質を両立させる地道な選択が、積み重ねられていました。

 

お店の名前は、自分の名前

店名「Sakhana」の由来はシンプルです。それがサハナさん自身の名前だから。
「アラビア語ではサハナですが、フランス語ではHの発音がないので、サカナになる。日本語でもサカナの方が言いやすいから、店名はサカナにしました。難しい言葉はいらない、みんなが読めるものにしようと思ったんです」オーナーの人柄が、そのままお店の名前になっているのです。

 

妻が支えるコーヒーとハーブティー

Sakhanaにはもう一つの魅力があります。妻が担当する自家焙煎コーヒーとハーブティーです。
コーヒーは、ニュージーランドで学んだ入れ方で提供。ハーブティーはオリジナルのブレンドで、庭で育てたハーブも使用しています。効き目から組み合わせたもの、味から組み合わせたものが揃っています。

妻は、もともと大学時代に居酒屋でアルバイトし、ワーキングホリデー中にはニュージーランドでシェフとして働いた経験を持つ人物。ハーブコーディネーターの資格も取得しており、コーヒーとハーブティーでSakhanaを彩っています。

 

週4日間の、丁寧な営み

営業は現在、土曜日と日曜日のみ。仕込みは木曜から始めます。
木曜・金曜は、野菜のカット、タルトとキッシュのベース作りなどの下ごしらえ。土曜日は焼き立てのパンを提供するため、朝からパンを焼きます。午後3時の営業後には、日曜日分の仕込みや掃除を始めます。
「仕事は早い方ではないので、時間はかかるけど、いいものが作れるようにしています」
確実な品質を届けるために、手間も時間もコストも惜しまない。それがサハナさんの信条です。

 

新しい挑戦 - 夢への一歩

最終的な夢はカフェのオープン。8月にはトライアルとして、木曜日と金曜日のランチタイム(11:30~13:30)の営業を行い、夢への一歩を着実に歩み始めました。

現在は子育てが落ち着くまで、丁寧に営業を続けるつもりだそうですが、現実的かつ前向きな展開を考えながら、今できることを着実に積み上げていくサハナさん。
「新しいデザートを作っているときが一番楽しい。たまに英語やフランス語を話せるお客さんが来てくれると、話せるのが楽しい」と話します。
2027年1月からは木曜日と金曜日のランチタイム営業を開始する予定。平日営業が実現すれば、週末だけでなく平日にもサハナさんの料理に出会える日常が生まれます。その日を待ち望んでいるsakhanaのファンのために、確実に前に進むサハナさんの姿が、そこにはありました。

 

異文化の橋渡しとして

毎週20種類程度のメニューを、丁寧に作り続ける。遠方から通う常連客を生む、その背景にあるのは、素材への誠実さ、そして「自分の好きなものを、他の人にも好きになってほしい」という想い。

フランスとチュニジアの食文化を、フランスや日本の地元の食材と手法で昇華させる。その営みは、まるで異文化の橋渡しのような営みです。

地中海からつくばへ。世界の美食史と、サハナさんの想いが詰まった「Sakhana」にぜひ足を運んでみては。

 

取材先:地中海ごはんとおやつ Sakhana
朝が一番混雑するため、希望のメニューを確実に確保するなら、電話またはInstagramでの予約が確実です。

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